眼に見える光
普段、何も気にはなりませんが、目に見えている光とはどんなものなのでしょう? 実は光とは電磁波の一部なのです。電磁波はその波長によりnm【ナノメーター】という単位で表すことが出来ます。波長の違いで呼び方が変るだけで電波やX線などの仲間です。そのうちのほんの一部の波長を眼が感知して光として認識されているのです。
紫外線
まずご説明しておきたいのは、紫外線と可視光線の違いです。可視光線とはその名の通り目に見える光です。波長の違いで赤、橙、黄、緑、青、藍、紫に変化します。この約400nm〜760nmの間のみが人間の眼に感じ取ることの出来る範囲です。そして、その外側がそれぞれ紫外線、赤外線と呼ばれいてる部分なのです。ですから、紫外線、赤外線を普通に肉眼で見ることはできないのです。紫外線は英語でUltraVioletといいます。その頭文字からUVと呼ばれています。この紫外線を便宜上3つに分け、320〜400nmをUV−A、320nm以下をUV−B、280nm以下をUV−Cとします。太陽光線の内のUV−Cはほとんどが地球のオゾン層に吸収されてしまいます。紫外線は殺菌力も持っていますので人体に有益な部分もあるのですが、悪い影響を与えるものでもあります。眼を例にたとえると、UV−Bは角膜まで到達し、角膜炎の原因になるといわれています。また、UV−Aは水晶体まで到達し白内障の原因になるともいわれています。
紫外線とメガネ
よくお客様で「眩しさよけのために紫外線カットのレンズで..」とご注文される方がありますが、これは正確には間違いなのです。先にご説明したように紫外線と目に見えません。ですから、UVカットのレンズを使用したとしても眩しさを防ぐことは出来ません。眩しさを防ぐためには、やはり可視光線を減光してくれる色の付いたレンズが有効になってくるのです。また、一般的なプラスチックレンズでもUV−Bの部分を吸収しますので、それ自体に保護効果があると考えられます。しかし、このままではUV−Aは眼まで到達してしまいます。プラスチックレンズにUVカットの処理を施したものは、このUV−Aのほとんどを吸収してくれますので、とても有効かと思います。ですが、溶接作業などの特殊用途の紫外線、レーザー光線、X線等から目を守る保護機能まではありません。
サングラスとUVカット
普段、メガネをしていない人は、メガネをしている人より紫外線を浴びる機会は多くなっています。しかし、皆が皆、角膜炎や白内障になってしまう訳ではありませんので、UVカットの機能は絶対に必要であるというものではありません。せっかく(?)メガネを掛けるのですから、少しでも保護されればよいとお考えいただければ宜しいのではないでしょうか。しかし、このメガネがサングラスという場合には話が変ってきます。眼にはカメラに例えるとオートの絞り機能があります。明るいところでは、虹彩を収縮させ、暗いところではその逆にと瞳孔の大きさを自動調節しています。右の図にマウスカーソルを乗せてみましょう。瞳孔が広がる様子が判りましたでしょうか?実際にはこのように瞬時に切り替わるのではなく、もう少し時間がかかるのですが...。
このように眼は、明るい場所では瞳孔を縮めていますので、UV−Aの進入を最小限にしようと頑張っています。しかし、サングラスを掛けた場合はどうでしょう?眼は可視光線の強さで瞳孔の大きさを調節していますので、サングラスを掛けた場合には、少し暗いものと判断し、瞳孔を大きくしてしまいます。この働きは、意識や気合で調節できるものではありません。よって、大きくなった瞳孔には、普段より多くの紫外線が入ってしまうという事なのです。ですから、サングラスにはUVカットの機能は非常に有効かつ必要であるという事になります。ただし、街頭など売られているサングラスの中にはUVカットとして売られているものを良く見掛けますが、これまでお話ししたようにUV−B、UV−Cは普通のプラスチックレンズでもカットしますので、それを指してUVカットとうたっているものもありますので注意が必要です。肝心なのはUV−Aをどれだけカットしてくれるかという事です。