「近眼の人は老眼にならない」
という事を聞く事があります。
老眼とは目の調節力が衰え、近くが見にくくなった状態をいいます。
近くのものを見る場合、眼は水晶体を変形させ(ふくらませて厚くします)屈折力を増します。
変形させるためには、水晶体についている毛様筋が働きます。
例えば目の前の40cmの距離を見るためには、2.5Dの調節力が必要となります。
25cmを見るためには4.0Dが必要です。
※D=ディオプター 屈折力を表す単位で、1/距離(m)で算出できます。
上の例では 1/0.4m=2.5D となります。
調節力は10代をピークに少しずつ衰え、
この2.5Dの調節力はおおよそ45歳くらいが境目となり、目の調節力は加齢とともに衰えてきます。
もちろん個人の体質等、水晶体や毛様筋の状態によって異なる場合があります。
見たい目的の距離に対する調節力が足りなくなった場合に補うのが老眼鏡です。
-2.50Dで完全に矯正できる近視のメガネをかけている人がいたとします。
ピントがボヤケずにはっきり見える範囲の事を明視域といいます。
ご存知の通り、近視眼は遠くはボヤケますが、近くは良く見える目です。
この人の眼の調節力が2.0Dあった場合、
メガネをかけている時の明視域は 無限遠〜50cm
メガネを外している時の明視域は 40cm〜22.2cm となります。
10代では調節力が旺盛で10D以上、20D近くまであります。
10代の場合、メガネをかけたままでも10cm以内のものもはっきりと見る事が出来ます。
上の例では、メガネをかけたままでは40cmの距離でははっきり見る事が出来ません。
しかし、メガネをはずせは40cm以内のものもはっきりと見る事が出来ます。
このあたりが「近眼の人は老眼にならない」という所以です。
上の例では、老眼にはなっていますが、改めて老眼鏡は必要ではないという事になります。
一般的に老眼鏡というと凸レンズを使用すると思われがちですが、
中等度以上の近視の場合、その人に合った老眼鏡は凹レンズを使用する場合もあります。
このあたりも「近眼の人は老眼にならない」と思われがちです。
また、ごく弱度の近視の方の場合には、凸レンズの老眼鏡が必要となる場合もあります
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